新年に際し、改めて手術要件撤廃に反対し、女性スペースを守る新法の制定を訴えます

 昨年、日本における女性と女児の権利はあいついで深刻な侵害を被りました。まず、国会内外での強い反対があったにもかかわらず、定義の曖昧な「ジェンダー・アイデンティティ」を保護対象とするLGBT理解増進法が6月に成立しました。最初の案よりは改善されましたが、それでもなお深刻な問題があることは、すでに私たちが指摘してきたところです。また、7月には、経産省トイレ訴訟において、未手術の男性職員に対する女子トイレの使用制限を違法とする最高裁の判決が下されました。さらに、10月25日には、性同一性障害特例法の生殖腺の除去要件(いわゆる4号要件)を違憲無効とする最高裁決定がなされ、多くの女性たちに衝撃を与えました。

 また、こうした法律や司法関係の動向だけでなく、市民社会においても、性自認を現実の性別よりも優先させようとする人々や団体による攻撃とキャンペーンが、言論・表現の自由や学問の自由に対して深刻な被害をもたらしました。根拠もなく「トランス差別者」とみなされた女性学者の講演会等がキャンセルされる事態があいつぎました(その一つについては、私たちも抗議を表明しています)。その最たるものは、世界的なベストセラーとなったアビゲイル・シュライアーさんの『Irreversible Damage』という著作(邦題は『あの子もトランスジェンダーになった――SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』)が出版直前に出版中止になったことでした。同書は、大手出版社のKADOKAWAから今年1月に出版される予定になっており、ネットでも宣伝され、多くの予約がすでに入っていたにもかかわらず、この著作を「悪質なトランス差別」だと一方的に見なした人々による抗議行動にKADOKAWA側が易々と屈服し、出版の中止を一方的に決定したのです。これは、戦後日本の出版史における前代未聞のスキャンダルでした(Wikipediaにはすでにこの事件に関するページが作られています)。

 しかしその一方で、前進と言える動きも見られました。まず、理解増進法案の制定過程をめぐって、かなり広範な反対世論が喚起され、そのおかげで、最終的に可決された法案は当初案よりもかなり改善されたものになったことです。とくに、同法の第12条「留意事項」がつけ加えられ、「この法律に定める措置の実施等にあたっては……全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」との文言が入れられたことは、市井の女性たちやLGBT当事者からの反対の声がけっして無駄ではなかったことを示しています。また、理解増進法の成立に伴って、自民党議員を中心に、「全ての女性の安心・安全と女性スポーツの公平等を守る議員連盟」が成立し、そこに100名以上の国会議員および地方議員が参加しました。私たちはこの議員連盟の発足にあたってさっそく歓迎の立場を示すとともに、協力関係を構築してきました。今後とも緊密に協力して、女性の安心・安全を守っていく所存です。

 上記の前向きな動きがあったとはいえ、全体としての状況は依然としてまったく予断を許さないものです。自治体レベルでは着々と、無条件に性自認を保護対象とする条例を制定する動きが進んでいます。そして何よりも、昨年10月25日の最高裁決定において、特例法の外観要件(いわゆる5号要件)に関する憲法判断が広島高裁に差し戻されたことを受けて、この広島高裁において、外観要件さえも違憲無効の決定が下されかねない状況にあることです。もしそんなことになれば、男性器を備えたままの「法的女性」が誕生することになり、法律による「別段の定め」がないかぎり、女性スペースに自由に入れるようになってしまう、あるいはその可能性が著しく増すことになるでしょう。それは、女性と女児の性的安全と尊厳、プライバシーを根本的に損なうものであり、女性と女児に対する性暴力に他なりません。このような事態を阻止するべく、性同一性障害特例法そのものに対する賛否を超えて、できるだけ多くの人が協力して、外観要件撤廃に断固反対する姿勢を見せる必要があると私たちは考えます。

 私たちは昨年11月と12月に、女性と女児の権利と安全を守るために、特例法の独自の改正案女性スペースに関する新たな法律案をそれぞれ提案しました。これらの問題についてはすでに、「女性スペースを守る会」など6団体が共同の法案を提案しています。私たちは、6団体が率先して法案を提案されたことに敬意を表するとともに、女性の安全・安心の観点から見て十分ではないと考えたので、私たちの会独自の案を提起させていただきました。特例法改正に関しては、最高裁決定で違憲とされた条項を取り除くだけでなく、診断の厳格化などを新たに盛り込みました。女性スペースに関しては、男女の生物学的区別をきちんと原則として位置づけたうえで、女性スペースの法的整備と安全確保の条項を細かく定めました。私たちは自分たちの独自案を絶対視するものではないので、広範な市民のみなさまと国会議員のみなさまによって真摯に検討していただき、最良の選択をしていただければと思います。

 最後になりましたが、私たちは今年も、性自認を現実の性別に優先させる方向に向けたあらゆる動きに強く反対するとともに、女性と女児の安心と安全、尊厳と人権を守るべく全力を尽くす所存です。そして、改めて性同一性障害特例法の手術要件の撤廃ないしいかなる緩和にも反対するとともに、特例法を厳格化し、女性スペースを守るための新法の制定を訴えていきたいと思います。

2024年1月27日
No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
代表 石上卯乃

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