朝日新聞による加賀奈々恵議員への不当な糾弾に抗議します

朝日新聞社 代表取締役社長 中村史郎様
朝日新聞社 記者 抜井規泰様
朝日新聞社 記者 二階堂友紀様

 3月23日付朝日新聞記事「Think Gender 『性別は変えられない』 埼玉富士見市議が発言、人権侵害との指摘」は、社会で論争になっている事柄について、一方の立場からのみ書かれた偏向した記事であると言わざるを得ません。私たちNo!セルフID 女性の人権と安全を求める会は、朝日新聞社に対し、これを即刻取り下げ、加賀奈々恵議員に謝罪することを強く求めます。

 加賀議員のスピーチは熟慮をもって書かれたものであり、何も間違ったことを述べていません。性別とは生物学的な事実を指すのであって、それ以外のものではなく、だから性別は変えられません。また、性別は変えられるという考え方が広まることが、女性や子どもの安全や健康を危うくしているということも、すでに国会でも議論されるレベルで明白になっています。スピーチの動画とその書き起こし全文を確認しましたが、差別にあたるようなことは一つも認められませんでした。

 「性別で区切られた空間はどうあるべきか」は、社会的な関心も高く、世論においても考えが分かれているテーマです。そのようなテーマを扱うにあたっては、事実を慎重に伝えることこそが社会の公器たる新聞の役割であり、本来であれば記事は両論併記すべきです。しかしながら、加賀議員を批判する声としては、共産党市議・NPO代表・一般の性的少数者をとりあげる一方で、加賀議員を支持する国内外からの共感の声を取り上げることはなく、あたかも加賀議員とその会派だけが「性別は変えられない」という主張(自明の事実ですが)を持論としているかのように記事にしています。

 この記事の主張は、つまるところ、昨秋の最高裁大法廷決定の「性自認に従った取り扱いを受けることは、個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益というべきだ」という言葉に依拠しています。しかし、この言葉を最終決定のように独り歩きさせてはなりません。これは、被告のいない家事審判における、原告の意見のみを集中して検討した裁判での言葉であり、この裁判では女性の法的利益は検討されませんでした。女性の安全・人権・尊厳という別の要素を重視することもまた当然に求められる現実の日本社会において、この大法廷決定の言葉をもって女性たちを黙らせようとするのは、報道機関としてあるまじきことです。

 また、最高裁の決定も、人間は性別を変えられないという命題をいささかも否定するものではありません。むしろ人間の性別は変えられないことを前提としています。なぜなら、もしも性別を変えられるならば、性自認に沿った扱いではなく、ごく普通に性別にもとづいた扱いをすればよいだけだからです。

 加えて、記事の記述の仕方にも公平性を感じられませんでした。たとえば、それほど長くない記事の文中に3回も、加賀議員が「謝罪した」と繰り返している点です。これは、議会運営を混乱させたことに対してであるのに、あたかも加賀議員が自分の発言内容に関して謝罪したかのような印象を与えるものとなっています。しかし、加賀議員は撤回に値するような差別的なことは全く主張していませんし、事実、彼女は撤回するつもりはないと述べています。

 
 朝日新聞は、この記事によって、他者の言葉を借りつつ、「性別は変えられないという発言は差別である」と世間に向かって言い放ったことになります。これは、日本社会の言論の自由にとって非常に重大なことですし、これによって日本社会の未来が危ぶまれるほどのことです。

 性自認至上主義が法律や社会をより強力に動かしている国々においては、「性別は変えられない」のような発言が、訴訟や失職や社会的立場の剥奪、発言機会の制限などの原因となっています。この記事は、日本もその同じ道を辿ることが正義であると認識し、そのように仕向けるものとなっています。

 客観的事実や科学は、現代の人間社会の基盤です。それにもとづいて発言する人を「差別だ」と糾弾することは、社会の基盤を危うくする行為といえます。朝日新聞社は、そのような行為にこれ以上踏み込むことをやめ、報道機関としての本分に立ち返り、客観的事実に基づく公平な報道をおこなうべきです。

 以上の理由をもって、私たちは、朝日新聞社に対し、即刻この記事を取り下げ、加賀議員に対して謝罪するよう、強く求めます。

2024年3月26日
No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
代表 石上卯乃

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