LGBT理解増進法案の付帯決議に必要最小限の歯止めを入れてください

(すべての国会議員の皆様へ FAX送付させていただきました。)

 私たちは、現在国会に上程されている3つのいわゆるLGBT理解増進法案をめぐって、この問題が世論を二分するほどの対立を生んでいること、法案で用いられている「性同一性」等の表現があいまいなままであること、女性と子供の人権と安全にかかわること、などの理由から、今国会での同法案の拙速な可決成立を目指すべきではないこと、いったん今国会では廃案にして、改めて仕切り直しをして、国民的な議論にゆだねるよう訴えてきました。

 私たちはこのことをこの声明文でも改めて与党並びに野党のすべての国会議員に訴えたいと思います。しかしながら、同時に、状況が非常に切羽詰まっていることからして、今回の法案に付される「付帯決議」の中で、せめて以下の4つの項目を取り入れてくださるよう切に訴えます。以下の諸項目は本来、理解増進法案の本文に取り入れられるべきものであり、私たちとしては引き続きその努力を払っていただきたいと思っていますが、それがどうしても不可能な場合、せめて付帯決議に入れていただきたいと思います。

1.「性同一性」とは性同一性障害特例法で言うところの「性同一性」のことである

 与党の理解増進法案では「性同一性」という言葉が用いられており、これは野党案の「性自認」ないし「ジェンダーアイデンティティ」よりもはるかに妥当なものですが、しかしその定義は依然として曖昧であり、法案の成立後、これが「性自認」の単なる言いかえだとして解釈される余地を残しています。したがいまして、付帯決議の中で、本法にある「性同一性」とは、性同一性障害特例法で用いられている「性同一性」と同じ意味であると明記してください。

2.本法の運用にあたっては、女性と子供の人権と安全に最大限の配慮をする

 すでにこれまで何度も私たちの声明で訴えてきたように、今回の理解増進法案に対して向けられている最大の懸念は、「性同一性」を理由にした「不当な差別はあってはならない」という文言が拡大解釈されて、自分を女性だとの「性同一性」を持っているが、男性器をまだ備えている人が女性トイレや女性用の浴場施設、女性用の更衣室などに入ってくる事態が助長されはしないかということです。この懸念を払しょくするために、付帯決議において、「本法の運用にあたっては女性と子供の人権と安全に最大限配慮すること」、あるいは「本法の運用にあたっては国民の権利が不当に侵害されることはあってはならない」という趣旨の文言を入れていただきたいと思います。

3.本法成立後も、トイレ、浴室、更衣室など人の羞恥心を刺激する場所においては従来通り男女の区別を堅持し、男女は基本的に戸籍性別にもとづくものとする

 現在、性的マイノリティないしLGBTの方に配慮するという名目で、各自治体や公衆施設等でしだいに女子トイレが縮小ないし廃止され、女子トイレがオールジェンダートイレないしジェンダーレストイレに統合されたり、多目的トイレ化されたりしています。このような流れを理解増進法が助長することがあってはなりません。したがって、「本法成立後も、トイレ、浴室、更衣室など人の羞恥心を刺激する場所においては従来通り男女の区別を堅持する」との項目を入れてください。また、「男女の区別」という概念さえも曖昧になっている現在、ここで言う男女とは戸籍上の男女のことであるということも付帯決議の中で明記してください。

4.学校教育における啓発と理解増進は子供の成長と発達に応じて保護者の理解を得ながら進める

 現在、科学的根拠のない「性自認」や「心の性」という概念が学校教育の現場に持ち込まれ、子供たちの間に大きな混乱をもたらし、その健全な発達を阻害しています。また、性教育の名のもとに、子供に口腔性交や肛門性交などを教えようとする動きもあります。すでにLGBT教育が顕著に進んだ諸外国では、そうした事例がしばしば起こっています。したがって、学校教育でLGBTに関する啓発と理解増進をはかる場合には、必ず、子供の成長と発達に応じて保護者の理解を得ながら進めるよう配慮するという趣旨のことを付帯決議に入れてください。

 以上、4点にわたって、私たちの要求を列挙させていただきました。せめてこれらの項目を付帯決議に入れることで、法の拡大解釈や悪用を防ぐ歯止めとし、女性たちが多少とも安心できるようにしてください。

 なお、朝日新聞デジタルの6月7日付報道によると、「すでに『性自認』を用いる地方自治体の条例があることなどから、それらの表現を書きかえる必要がないことの『周知徹底』を求めた。」とのことですが、これは各自治体に委ねられたことであり、決議に含めるべき事柄ではないと考えます。

 性自認の法令化が進んでいる諸外国の実態からして、この問題で拙速かつ安直な形で法の成立を目指すならば、将来に重大な禍根を残すことになるでしょう。くれぐれもそういうことのないよう重ねてお願い申し上げます。

2023年6月8日

 No!セルフID 女性の人権と安全を求める会

 代表 石上卯乃、桜田悠希

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