(すべての国会議員の皆様へ FAX送付させていただきました。)
現在、国会には与党案を含めて3つの理解増進法案(いわゆるLGBT法案)が提出されていますが、今国会の会期終了が迫る中、与党案をこの短い会期末に可決成立させる動きがあるとの情報に接しました。これほど深刻に世論を二分している法案を、まともな審議もなしに可決成立させるようなことは、民主国家としてあってはならないことだと私たちは考えます。
すでに、私たちの5月30日付けの全国会議員に宛てた声明において、3つの理解増進法案に共通する問題点について以下の5点にわたって指摘させていただきました。
1.「性的指向」と「性同一性」ないし「性自認」ないし「ジェンダーアイデンティティ」(以下、「性同一性」等)というまったく別個の問題が同じ法律で扱われている
2.「性同一性」等が性同一性障害特例法に明確に紐づけられていない
3. 定義があいまいな差別禁止規定は不当な糾弾や訴訟のリスクを招く
4. 女性と子供の人権と安全に対する配慮義務が明記されていない
5. 学校教育の現場に定義の曖昧な概念が持ち込まれれば混乱を招く
これらの問題が何一つ改善も修正されてもいないのに、2週間足らずで法案の可決成立させることになれば、大きな禍根を残し、深刻な混乱を招くことになるでしょう。
私たちは国会に出されている3つの案のうち、日本維新の会と国民民主党の2党が提出した法案が相対的により妥当なものであると考えますが、まったく日本語として定着していない「ジェンダーアイデンティティ」という言葉を用いている点で、やはり大きな欠陥を有しています。そして、どの案にしても、徹底的な国会審議と国民的議論が必要なのは明白であり、会期の終了まで2週間足らずしかない現時点では、そのような審議はとうてい不可能です。
「性同一性」等の法令化が先行した諸外国の例を見ても明らかなように、定義の曖昧な「性同一性」等を入れた法律を制定することは取り返しのつかない混乱を生み出すことになります。そして何よりも、女性の人権と安全が脅かされかねず、法案のない現在でもすでにそうした事例がしばしば起きています。
どうか法案の拙速な可決成立を目指さず、全面的な仕切り直しをしてください。すべての法案をいったん廃案にしたうえで、諸外国の事例をきちんと調査し、その情報について全国民に知らせた上で、全国民的な議論を積極的に促してください。
2023年6月7日
No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
共同代表 石上卯乃 桜田悠希