トランス問題をめぐる大石あきこ議員の発言に抗議し、謝罪を求めます

れいわ新選組代表 山本太郎 様

れいわ新選組政策審議会長 衆院議員 大石あきこ 様

 貴党の日ごろの奮闘に敬意を表します。さて、貴党は先日4月11日、今夏の参議院選挙の東京選挙区においてトランスジェンダーのよだかれん氏を擁立することを発表しました(https://reiwa-shinsengumi.com/karenyoda20220411/)。私たちはもとより、トランスジェンダーの方の立候補に異を唱えるものではありませんし、貴党が、よだかれん氏のこれまでの実績と人柄にもとづいて候補者に決定したものと推察いたします。

 しかしながら、4月13日、貴党の政策審議会長である大石あきこ衆議院議員とよだかれん候補とが出演し会談した大石議員の公式動画(https://youtu.be/Spqtp3QQetI)において、看過できない発言がいくつかなされたので、そのことに対して厳重に抗議するとともに、すべての女性に対しての貴党の公式の謝罪を求めます。

1.大石衆院議員とよだ候補とはその動画の中で、「女性トイレにトランスジェンダーの人が入ってくる」ことに多くの女性たちが恐怖感を表明していることについて触れ、次のような会話をしています。以下、動画での該当箇所の発言を忠実に起こしているウェブページ(https://anond.hatelabo.jp/20220417001209)から引用させていただきます(わかりやすいよう、「依田」は「よだ」と表記させていただきました)。

大石 ちょっとそれ何言ってんの……そのトイレに、トランスジェンダーの人が女性トイレ入られたら怖いとか

よだ そうそうそう

大石 ちょ、お前が怖いって、って。気にするな!って

よだ あっはっはっは(笑い)

 ここには、市井の女性たち(もちろん、れいわ新選組を支持している人も大勢います)が女性用トイレという無防備になる場所に男性身体者が入ってくることに対して抱く当然の恐怖心に配慮する姿勢はみじんも見られず、「お前が怖い」とか「気にするな!」という一方的な言葉が爆笑とともに語られています。

 まずもって、大石議員がここで語っている「トランスジェンダー」とはどういう人々を指しているのでしょうか? 国連の定義によれば、トランスジェンダーとは、性同一性障害(GID)の方や性別適合手術を受けた方だけでなく、自認が女性であるだけの人々やトランスヴェスタイト(異性装者)も含む広い概念です。つまり、よだ候補のような方だけでなく、たとえば週末に女装を楽しんでいるだけの人も入る概念です。

 そのような女装者たちを含む男性が女性用トイレに侵入すること(これは、現行法上、犯罪でもあります)を、女性たちは恐れています。とくに、日本のような深刻な性差別の蔓延している社会においては、女性の多くは何らかの性被害者でもあり、女性用トイレという最も身体的安全が保障されていなければならない空間に男性が入ってくることに、強い恐怖心を抱くのは、ごく当然のことです。また、女性用トイレは成人女性だけでなく女児も使うのですから、娘のいる親御さんはいっそう恐怖心を抱くでしょう。

 これは、トランスジェンダーの人をすべて性犯罪者とみなすということではまったくありません。安全・安心な空間であるべき女性用トイレに、男性身体者が入ってくることの問題性を問うものです。

 どうしてこのような切実な感情が爆笑されなければならないのでしょうか。どうして、「気にするな」の一言で片づけられなければならないのでしょうか。弱者の立場に立つと公言している貴党の議員が、社会的・身体的弱者である女性たちに対してこのような侮蔑的態度を取ったことに、多くの人々は衝撃を受けています。以上の発言にまず私たちは強い抗議をするとともに、真摯な謝罪を求めます。

 なお、貴党は、「LGBT法連合会へのアンケート回答(https://lgbtetc.jp/news/2107/)において、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(GID特例法)」から手術要件を撤廃することに賛成しています。このことから、貴党の言う女性用トイレに入ってもよい「トランスジェンダー」には、自認が女性であるが手術を受けていない人たちも含まれることは明らかです。

2.さらに、大石議員は次のように述べています。

大石 気にするな!って思いますけど、すごい……そういう一個の……そのジャンルが広がってて。

よだ あるんですあるんです。

大石 まあいろんなジャンルありますけどね。

 ここで大石議員は、「トランスジェンダー」の女性用トイレ使用に不安を持つ女性たちのことを「ジャンル」と呼んでいます。大石議員はこの言葉がよほど気に入っていると見えて、その少し前の発言でも「最近なんか、トランスジェンダーをヘイトする女性、みたいなジャンルありません?」と述べています。どうやら大石議員にとっては、トランス問題に不安を持っている女性は人間でさえなく、単なる「ジャンル」のようです。生きた人間を「ジャンル」扱いすることは、そうした女性たちを非人間化することであると私たちは考えます。不安に思っているだけの女性たちを人間扱いしない人物がはたして国会議員にふさわしいでしょうか?

 また大石議員は何の根拠も示すことなく「トランスジェンダーをヘイトする女性」と表現しています。「トランスジェンダーをヘイトする」とは具体的に何を指しているのでしょうか? 

 女性を自認する男性や女装した男性が女性用トイレに入ってくることに反対することやそのことに恐怖を感じることが、「トランスジェンダーをヘイトする」ことなのでしょうか? そのようなレッテル貼りこそ、女性に対する「ヘイト」です。このようなレッテル貼りや誹謗中傷をただちに撤回するとともに、真摯な謝罪を求めます。

3.さらに大石議員は次のように述べています。

大石 なんかストレスがすごいんだろうなって思うと、やっぱ積極的にみんなが所得を増やしたり、余裕のある生活をしていくというのがないと、もうその人らをしばくっていうカウンターだけ……カウンターは必要なんですけど、カウンターだけでは限界があるなっていうふうには思うし、だからこそれいわっていう。

 以上の発言には2つの看過しがたい発言が含まれています。まず第1に、「トランスジェンダー」が女性用トイレに入って来ることに不安を表す女性たちが、貧困でストレスが溜まっているがゆえにそうしているという、極めて不適切なレッテル貼りをしていることです。第2に、大石議員は「もうその人らをしばくカウンター……が必要」であると公言していることです。

 まず1つ目の点ですが、すでに述べたように、多くの女性は性被害当事者でもあり、またトイレは多くの女児も使用しています。女性と女児の安全に対するこの懸念は貧困によるストレスとは何の関係もありません。また、貧しいから差別しているというステレオタイプな見方は、貧困者に対する偏見にもとづいており、そうした偏見を著しく助長するものです。

 次に2つ目の点です。「しばく」という言葉が具体的にどういった行動を指しているのかは不明ですが、関西弁で通常「しばく」とは何らかの暴力的な行為を意味します。「しばく」はあくまでも比喩であるとの抗弁は当然成り立ちますが、それでもあえて「しばく」という、暴力行為を連想させる比喩を用いたことは、不安を感じる女性たちを暴力的な言辞でもって脅しつけ、黙らせるものであると言わざるをえません。

 このように国会議員たるものが、市井の女性たちに対して偏見を助長した上に暴力的言辞でもって脅す発言を公然と行なったことは、本来、国会議員の資格にさえかかわる重大な不祥事です。ただちに発言の撤回と真摯な謝罪を求めます。

 以上、有権者でもある私たちの抗議と謝罪要求に対して、政党助成金という税金の支援を受けた公党としての貴党の責任ある回答を求めます。2022年4月末日までに、メールないし公開の形で何らかの回答していただくようお願い申し上げます。

2022年4月20日

No!セルフID 女性の人権と安全を求める会

代表 石上卯乃、桜田悠希

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