LGBT理解増進法案について 自由民主党国会議員の皆様へ 緊急の訴え

 各種報道によりますと、5月12日に自民党の「性的マイノリティに関する特命委員会」と内閣第一部会との合同会議が開催され、いわゆるLGBT理解増進法案が文言修正のうえ特命委の高階恵美子委員長および森屋宏内閣第1部会長に一任され、16日の政務調査審議会と総務会を経て、G7広島サミットまでに国会に提出されるとのことです。

 発言者の多数が反対ないし慎重だったにもかかわらず、強引に幹部に一任され、国会提出の流れになっていることに、私たちは強い懸念を持ちます。すでに多くの人々、団体、当事者が訴えているように、この法案には修正にもかかわらず多くの問題があり、それの国会提出と可決成立を急ぐことは、重大な禍根を残し、日本社会の混乱を生むことになります。

1.「性同一性」が「性自認」の単なる言いかえにとどまっている懸念がぬぐえない

 自称とあまり意味の変わらない「性自認」という言葉が取り除かれたのは大きな前進ですが、「性同一性」という言葉が「性自認」の単なる言いかえである懸念がぬぐえません。それが性同一性障害特例法で用いられている「性同一性」と同じものであって、あくまでも医療用語であることが明記される必要があります。

2. 性同一性障害者への差別に関しては障害者差別解消法が適用される

 もし「性同一性」が「性自認」と同じではなく、性同一性障害でいうところの「性同一性」のことなら、そういう方への差別に関しては障害者差別解消法が適用されることになっています。同法では行政機関や事業者に対するさまざまな施策や措置がきめ細かく定められており、改めて理解増進法案において「性同一性による不当な差別」を明記する必要はありません。

3. 女性と子供の人権と安全に対する配慮義務が明記されていない

 合同会議の場で、女性と子供の人権と安全への配慮義務を盛り込むことを求める有力な意見が存在したにもかかわらず、それは盛り込まれませんでした。現在、この理解増進法案に対して出されている最大の懸念は、この法案がこのまま成立すれば、自分を女性だと自認する男性が女性スペースの中に入ってくる事態が助長される可能性があること、そして、それを拒否したり通報したり批判したりすること自体が「不当な差別」だとみなされかねないということです。まだいかなる理解増進法案も通っていないにもかかわらず、そうした懸念を表明すること自体が、当事者を傷つける差別だという言説がすでに大量に発信されており、国会議員の方からもそうした発言が繰り返し出されています。今でさえすでにそういう状況にあるのですから、理解増進法案がこのまま成立すれば、この傾向にいっそう拍車がかかり、女性と子供の人権と安全は深刻に脅かされるでしょう。

 以上の観点から、なにとぞ、現在の理解増進法案をそのまま政調審議会および総務会において了承しないようにしてください。どうか広範な国民の声、とりわけ市井の女性たちの声に耳を傾けてください。これほど大きく意見が分かれている法案を今国会で成立させる合理的な理由は何もありません今国会での上程を見送り、すでに同種の法律が存在する諸外国での深刻な混乱を調査し、法案に批判的な市井の女性や性的マイノリティ当事者の声を聴取し、それらを国民に周知したうえで、改めて議論してくださるよう切にお願いします。

2023年5月13日

 No! セルフID  女性の人権と安全を求める会
 代表 石上卯乃、桜田悠希
 

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