2021年10月31日、第49回衆議院選挙の投票が実施され、自民党と公明党の与党勢力は公示前の305議席から議席を減らしたとはいえ、絶対安定多数を超える293議席を確保しました。他方、野党勢力では、政権交代を訴えた立憲民主党は公示前の109議席から13議席も少ない96議席にとどまり、同党の代表はその責任を取ってすでに辞任を表明しています。私たちは議席の増減に対する評価とは別に、最大野党たる立憲民主党が、選挙前の私たちの公開アンケートに回答しないという態度を取ったことに改めて抗議の意思を示したいと思います。また同じく政権交代を訴えた共産党も、公示前の12議席から10議席へと議席を後退させました。他方で、日本維新の会は公示前の11議席から41議席へと躍進し、れいわ新選組も1議席から3議席へと議席を増やしました。
そうした政党ごとの議席数の変化とは別に、女性議員の数は公示前の45人からさらに2人少ない43人にとどまり、外国と比べてただでさえ圧倒的に少なかった女性議員の割合がいっそう低くなるという結果となりました。今年の6月に改正候補者男女均等法が成立し、そのもとでの最初の選挙だったにもかかわらず、このような結果になったことに、私たちは深い憂慮と抗議の声を発したいと思います。女性として生まれ女性として社会経験を積んできた人ができるだけ多く国会議員になることは、それ自体が女性の地位向上を意味するというだけでなく、女性の人権と安全を守るうえで決定的に重要なことであると私たちは考えるからです。
各政党への議席配分がどのようなものであれ、当選したかぎりは、どの議員も、国民の代表者として民主主義を尊重し、多様な有権者の利益を、あるいは有権者ではなくともこの国に住むすべての人々の利益を守る義務があります。そして、そうした人々の半分は女性であり、私たちは何よりも、これまであまり顧みられることのなかった女性たちの人権と安全を守る活動を支援していただけるよう、すべての衆院議員に訴えたいと思います。
私たちが選挙前から訴えていた、小規模事業所における女性専用トイレの確保の問題はとくに喫緊の問題です。10人以下の小規模事業所では男女共用トイレ一つでもよいとする厚労省による省令改悪が施行されるのは今年の12月です。それまでに、女性の人権と安全が守られるよう、できるだけのことをしていただきたいと思います。また小規模事業所だけでなく、各自治体の公衆トイレにおいても、男性トイレは残して女性専用トイレをなくして「誰でもトイレ」にしようとする動きがすでに顕著になっており、私たちは危機感を募らせています。この問題にも関心を寄せていただきたいと思います。
さらに、近いうちに招集される臨時国会において、あるいはその後の通常国会の会期中に、改めてLGBT新法が活発な議論の対象となると思われますが、その中で「性自認」をめぐる論争が再燃するでしょう。私たちは、すでにこれまで表明した声明やアンケートに示したように、「性自認」の意味、そしてそれに基づく「差別」が許されないと言う場合の「差別」が具体的に何を指しているのかが曖昧なまま、それが新たな法律の中に入ることに懸念を抱いています。拙速に法律化に突き進むのではなく、懸念を抱く女性たちの声に真摯に耳を傾けていただくよう、改めて強く訴えます。
2021年11月5日
No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
代表 石上卯乃、桜田悠希