日本では、ほんの30~40年前まで多くのトイレに男女の区別はほとんどありませんでした。一つの部屋の中に、男性用小便器と、個室がある方式が主流でした。そのため男性による覗き見や痴漢行為などが後を絶ちませんでした。
そんな中、女性が安心してリラックスして外出したり働いたりするのは難しい状況でしたが、多くの女性たちの働きかけ、努力により「男女別の安心して使用できるトイレ環境」が達成されてきました。
しかし、「少人数の事業所において、男女別のトイレを減らし男女共用のトイレがあればそれでよし」とする動きが、既に始まっています。厚生労働省は、新しい省令案において、「・男性用と女性用とを区別して設ける原則、設置すべき便所の便房数の基本的考え方は維持する。」としつつ、10人以下の事業所は男女別トイレの設置義務を免除される、と記しました。(10人以下の事業所は全体の75%以上を占めています。総務省統計局※平成28年のデータ参照)外部リンク。
第4回 事務所衛生基準のあり方に関する検討会 議事録(外部リンク)
この改悪に、私たちは反対します。
この件での最新の動きは、7月28日におこなわれた第139回労働政策審議会安全衛生分科会の議事録(外部リンク)が9月6日に公表されたことです。そこには7月27日までのパブリックコメントで約1500件の意見が寄せられたこと、その多くが最後の3日間で集まったことが記されています。
7月28日の分科会議事録の要旨
・男女別という原則は維持される
・「女性専用トイレを廃止する」ことや「共用トイレの設置を推奨する」ことは目的ではない
・男女別が原則であるということ、衛生やプライバシーの確保が前提であること、それらへの誤解がないように、通達等で丁寧に周知していきたい
【この議事録から見えてくること】
❶「原則は維持」して例外を認めるこの改正案を、厚労省はこのまま実現化を図る考えである
❷その「例外」にあたる事業所が日本全国の事業所の大多数と言ってよい数を占めることに言及がない
❸パブリックコメントを寄せた人々はたんに誤解をしている、通達で周知すれば済む問題である、と厚労省は考えている
私たちは、女性専用スペースの縮小に繋がる全ての規定に反対します。厚生労働大臣および厚生労働省に申入書を送りました。