高市政権の発足にあたっての私たちの期待と要望

衆議院議員 高市早苗 様

 2025年10月、高市早苗自民党総裁が国会における首班指名選挙において、日本で最初の女性の総理大臣に選ばれました。私たちは女性の権利を守る女性団体として、このことに心からの祝意を申し上げたいと思います。

 戦後、日本で女性に参政権が与えられて80年、これまで一度も女性の首相が誕生しなかったことは、世界的にも恥ずかしいことであり、日本における女性の地位の低さを象徴することでもありました。この壁を打ち破って、高市早苗氏が首相の重責を担うに至ったことは、日本における女性の権利と地位向上の歴史において、画期的とも言える偉業でした。私たちはこのことに改めて歓迎の意を表したいと思います。

 私たちは、日本の政府と与党自民党が、日本初の女性首相および女性総裁のもとで、これまで以上に女性の権利と地位向上のために努力していただけるものと強く期待し、また心からそのことを切望しています。そのためには何よりも、この数年間、大きな懸案事項であった性自認問題と女性スペース問題について、政府として、またその中心を担う与党自民党として、女性の立場に立った指導力を発揮していただきたいと思っています。

 2023年10月、最高裁判所の大法廷において、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下、特例法)をめぐって、同法の第3条4項「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」(以下、「生殖不能要件」)に関して全員一致で違憲判決が下されました。また、同条5項「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」(以下、「外観要件」)についても、各地の家庭裁判所や地方裁判所、そして高等裁判所においても、訴訟提起者の個別事例に限定してですが、あいついで違憲判決が出ており、ホルモン摂取さえしていれば男性器を残していても性別変更を認める判定が出たり、アレルギーなどの理由でホルモン摂取さえしていない人の性別変更を認める判定が出たりしています。

 そして、一部のマスメディアや主要な野党はいずれも、特例法を抜本的に改正して、生殖不能要件も外観要件もなくしてしまい、医師の診断書がありさえすれば法律上の性別の取扱いを変更できるようにするべきだと要求しています。しかし、もともとこの特例法は、自己の身体における性別に関わる部位や器官(生殖器および性器)に対する強い違和感を持ち、それを除去することを切実に求め、そして、そのように身体を外科手術で改変した人々が他の性別にもとづいて社会生活を送れるようにするために作られたものであって、単に性別を変えたい人のためのものではありません。

 生殖要件についてはすでに最高裁で違憲判決が出た以上、それを法文から削除することはやむをえないにしても、外観要件は絶対に堅持するべきだと私たちは考えます。男性器を残し、レイプすることが可能な身体を持つ者がその法的扱いを「女性」に変更するのを認めることは、すべての女性の尊厳を傷つけ、その権利を著しく脅かすことになります。私たち女性にはペニスは存在しません。絶対に外観要件を守ってください。

 次に、男性器を残したまま法的取り扱いを「女性」に変えた人がすでに大勢いる以上、これらの人々が女性トイレや女性用の公衆浴場、女性更衣室などの女性スペースを利用する可能性が著しく高まっています。特例法の第4条1項には、「性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」とあり、各種法令の諸規定に基づいて設置されている女性トイレや公衆浴場などの公共的な性格を持った女性スペースに、これらの人々が入ってくる可能性は否定できません。したがって、この第4条で言われている法律上の「別段の定め」をただちに作る必要があります。

 現在、「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(以下、議連)の方々のご尽力で、女性スペースに関する法案が作られていますが、私たちはなお不十分であると考えます。女性スペースを合法的に使用できるのは生物学的女性だけであるという基本原則を法に明記することが、まずもって必要であると考えます。その上で、施設管理者の自治的な判断と視認可能な掲示にもとづいて、生物学的女性のうち特例法に基づいて法的性別を「男性」に変えた者を排除すること、および、生物学的男性のうち特例法に基づいて法的性別を「女性」に変えた者であって、かつ「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」という要件を満たしている者の使用を許可することを、例外として認めるという構成にするべきであると考えます。

 これはあくまでも例外的に認めることができるということであって、必ずそうしなければならないという意味ではありません。女性スペースを使用できるのはあくまでも生物学的女性であるということが原則であるべきであって、したがって施設管理者が、女性スペースの使用を生物学的女性に限定するという措置を取ることも、法律上、明確に認められる法構成になっているべきです。議連案に関する私たちの修正意見についてより詳しくは、「『女性を守る議連』ご提案の『女性スペースの安全・安心を確保するための法案』に関する当会の修正意見」(https://no-self-id.com/2025/05/25/amendment-proposal-2025/)をご覧ください。

 私たち女性の尊厳と権利は、生物学的女性だけが女性であるという科学的原則が、法律においても社会のルールにおいても厳格に順守されることではじめて守られます。高市首相、どうか私たち女性の尊厳と権利を守ってください。メディアも野党も私たち女性のことをいっさい顧みず、一握りの男性の欲望とわがままを優先させています。日本初の女性首相として、どうか私たちの希望と願いを真摯に受け止めてください。

2025年11月12日
No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
代表 石上卯乃
no.self.id.jp@gmail.com 

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