津田塾大学の学長および教員のみなさまへ 2025年度からの「トランスジェンダー女性」の受け入れ方針を撤回し、在学生の不安の声に耳を傾けてください

津田塾大学学長 髙橋裕子様

津田塾大学のすべての教員のみなさま

 女子教育に熱意を注いでこられた歴史と伝統ある貴学に敬意を表します。私たちは、女性および子供たちの人権と安全を求めて2年前から活動を続けている市民団体です。現在、津田塾大学が、2025年度の入試から「トランスジェンダー女性」を受け入れると発表したことで大きな波紋が広がっています。6月23日に髙橋裕子学長は津田塾大のサイトで以下のように述べています(https://www.tsuda.ac.jp/news/2023/0623-02.html)。

「津田塾大学では、2025年度入試(2025年4月に入学する学生が受験する入試)より多様な女性のあり方を尊重することを基本方針とし、女子大学で学ぶことを希望するトランスジェンダー学生(性自認による女性)にすべての学部、大学院研究科にて受験資格を認めることといたしました。」

 また、津田塾大学がこの問題に関して発表している「トランスジェンダー学生受け入れのガイドライン」(https://www.tsuda.ac.jp/news/2023/suqamb00000099xl-att/2025_guideline.pdf)では、「多様な女性のあり方を認めること(=Diversity/Inclusion)を基本方針とし、戸籍等または自認する性別が女性であり、女子大学で学びたい人を受け入れます」とあります。つまり、性別適合手術を行なって戸籍上の性別を「女性」に変更した人だけでなく、医師の診断書もなく、男性器を保持したままで、単に「自認する性別が女性である」だけの人をも受け入れるとなっています。

 私たち、No!セルフID女性の人権と安全を求める会は、以下の3点を津田塾大学に対して要請します。

1.2025年度からの「トランスジェンダー女性」の受け入れ方針を撤回すること

2.在学生からの不安の声に耳を傾け、真摯な対話を行なうこと

3.受け入れる場合でも、現在の在学生全員が卒業する予定の2027年度からにすること

1.2025年度からの「トランスジェンダー女性」の受け入れ方針を撤回してください

 津田塾大学は、その創始者たる津田梅子が「塾のように少人数で」、そして「女性の地位向上を」との願いを込めて1900年に創設されました。梅子は「All round women」という言葉を掲げました。当時の津田塾大学は英語塾でしたが、この言葉には、英語だけではなく視野の広い女性になるように、との思いが込められています。当時、女性に対する高等教育の門は閉じられており、女性であるというだけで教育や職業や政治において深刻な差別を受けていました。そうした状況の中で作られたのが女性のための高等教育機関です。

 そうした歴史を持った「女性のための学校」に、「性自認が女性である男性」を受け入れること、すなわち、性別適合手術もしていない、戸籍の変更もしていない、身体男性を受け入れることは、女子大学の歴史と理念を裏切るものです。男子学生の存在を意識することなく学業やサークル活動でリーダーシップを発揮し、社会的な性別役割を相対化し、また男性による性加害の恐怖を感じることなく大学生活を送ることができる空間が脅かされようとしています。身体男性の受け入れ方針を撤回してください。

2.在学生からの不安の声に耳を傾け、真摯な対話を行なってください

 現在、津田塾大学の在学生の呼びかけ等により、トランスジェンダー受け入れ基準の見直しを求める署名がいくつも立ち上がっています。「今までに質問をしたけれど、回答がない」「それはあなたの理解が足りないから。学びましょうと言われた」などと、真摯な対話ではなく、一方的な押し付けによる「理解」が求められていたことが明らかになっています。女子大学の根幹にかかわる基準変更が行なわれようとしているのに、在学生の不安の声を無視するのは、高等教育機関を担う者としてあるまじきことです。在学生の不安の声に真摯に耳を傾け、結論ありきの説得ではなく、本当の意味での対話を行なってください。

 また、すでにインターネット上では、受け入れ基準見直しの署名を立ち上げた在学生に対して、身元を特定するとか、退学処分にする、名誉毀損で訴えるなどの脅迫行為がなされています。ここに言論の自由はあるでしょうか。これらは果たして津田梅子が求めた学校像だといえるのでしょうか。大学として、このような脅迫行為に断固たる姿勢を示し、在学生の安全と尊厳を守ってください。

3.受け入れる場合でも、現在の在学生全員が卒業する予定の2027年度からにしてください

 今年2023年に「トランスジェンダー女性」の受け入れ方針を発表し、2年後の2025年度から実際に受け入れるというのは、明らかに拙速であり、女性だけが学ぶ「女子大」だと思って入学している在学生に対する背信行為です。私たちは受け入れ方針そのものの撤回を求めますが、たとえ受け入れる場合でも、少なくとも現在の学部生全員が卒業予定の2027年度まで実施するべきでありません。

 今のままでは、トランスジェンダー当事者にとっても、また、同じく当事者である在学生とその保護者にとっても、たいへん不幸な行き違いのある大学生活となってしまうことは明らかです。当会のメンバーには、貴学の卒業生がおりますし、来年大学受験を控えた娘を持つ者もおります。たとえ貴学の卒業生や保護者でなくとも、この日本に生きるすべての女性たちが今回の件では当事者です。貴学が、女性が自立し、広い知識をつけ、男性に気後れせず社会で活躍できるよう創設された、女性のための大学であることをどうか思い出してください。いまでも日本は男尊女卑の風潮が根強く残っており、世界的なジェンダーギャップ指数からすると世界125位の低いランクにあります。形式的には女性にも高等教育の機会が開かれた現在でも、女子大学が存在する意義はここにあります。女子学生の尊厳と安全を守ってください。

2023年7月5日

No!セルフID女性の人権と安全を求める会

共同代表 石上卯乃 桜田悠希

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