2023年6月12日、国会前で行なわれた「LGBT差別増進法に抗議する緊急大集会」（主催：LGBTQ+国会 議会運営委員会）において、社会民主党の参議院議員である大椿ゆうこ氏は、LGBT理解増進法案に対する不安と懸念を抱いている女性たちや、子供を持つ親たちに向けて、以下のような発言を行ないました。
「LGBTQの皆さんの存在がこの社会に不安を与えるかのように配慮を求める、そんな条文が付け加えられようとしています。私は思うんです。おまえのその不安に向き合えや。そう思いませんか。あなた自身が勝手になんか不安になっているんですよ。不確かな情報に左右され、そして当事者と話をすることもなく、勝手に不安を抱いている。それはLGBTQの人たちの問題じゃないんですよ。不安を抱いているあなた自身の問題なんです。なぜあなたが不安なのか、なぜあなたが怖いと感じるのか、そこに向き合ってください。」
実に驚くべき発言です。よりにもよって、国民の投票によって選ばれている国会議員が有権者に向かって公然と「おまえ」呼ばわりするとは言語道断です。
さらに大椿議員は、女性たちの不安と懸念に対して、「あなた自身が勝手に不安になっている」と決めつけ、「不安を抱いているあなた自身の問題」だと言い放っています。まるでこのような不安そのものが不確かな情報に基づく妄想で、不安を抱く側に何か精神的な問題があるかのようです。しかし、この不安は不確かな情報に基づくものでも、妄想でもありません。
この日本ですでに、女子トイレや女性用風呂に自分は女だと称する男性が入り込んで警察沙汰になっている事件が頻繁に報道されていますし、警察案件にならなくても、多くの女性たちがそうした男性たちをたびたび目撃し、ショックと恐怖を感じています。諸外国でもいっそうひどい実例が多数報道されています。これらは多くのたしかな情報源に基づいているだけでなく、私たち女性たちの実際の経験に基づくものでもあります。
この日本において、女性や子供に対する性暴力やハラスメントは日常化しており、女性はいつでもどこでも男性を警戒することを余儀なくされています。私たちの安全性が多少とも保障されている空間は、トイレや浴室、更衣室などの女性専用スペースだけです。そしてそのような専用スペースは女性たちの長年にわたる努力と闘いの結果としてようやく歴史的に勝ち取られたものです。そのような場が、自分を女性だと自認する男性によって侵害されるリスクを少しでも増やす可能性のあるものに対して、女性たちが強い警戒感を抱くのは当然です。またそれは大人の女性だけでなく女児の安全の問題でもあります。女性と女児の生存権がかかっているのです。
もしそのことにほんのわずかでも思い至ることができるのなら、今回のような発言にはけっしてならなかったはずです。女性も子供もこの社会のマジョリティではなく、最も抑圧され迫害されしばしば殺されているマイノリティです。私たちの安全性は誰によっても守られておらず、いつでも後回しにされています。
女性を「おまえ」呼ばわりし、女性が当然抱く不安や懸念を頭から否定し、妄想扱いした大椿議員に対して私たちは断固抗議します。ただちにこの発言を撤回し、すべての女性有権者に謝罪してください。そして、それができないのなら、国会議員である資格がないものと考えざるをえませんので、私たちは大椿議員の議員辞職を求めます。
同じく、大椿議員が副党首を務める社会民主党に対しても、大椿議員の発言が不適切で女性に対して侮辱的なものであったことを公に認め、女性有権者に謝罪することを求めます。女性の党首と副党首を戴きながら、女性を侮蔑し、女性の不安をないがしろにする政党に未来はないでしょう。
2023年6月14日
No！セルフID 女性の人権と安全を求める会
共同代表 石上卯乃、桜田悠希
