自由民主党の国会議員のみなさまへの緊急の訴え 立憲民主党の附帯決議を絶対に受け入れないでください

 現在国会に上程されている与党のいわゆるLGBT理解増進法案に関して、立憲民主党が、採決で賛成する条件として15項目にも及ぶ附帯決議案を与党に提起しました。その内容を見ますと、それは基本的に、与党の理解増進法案を野党のLGBT差別解消法にできるだけ近づけようとするものであり、理解増進法案の基本理念と立法趣旨を大きく歪めるものとなっています。

 差別の法的禁止ではなく、国民の理解増進を涵養するというのが、与党の提出した理解増進法案の基本理念であり、立法趣旨でした。ところが、立憲民主党の附帯決議案では、第7項の「差別を禁止する法制度の研究を推進し、その結果に基づいて必要な法制上の措置をとること」という条項を始め、法律で差別を禁止することを事実上求めるものとなっています。このように本法の理念と立法趣旨に根本的に反する内容が附帯決議に盛り込まれるというのは前代未聞です。第6項ではさらに、差別だけでなく、「性同一性についての無理解な言動……に関する対策についての研究を推進し、その結果に基づいた必要な施策を速やかに実施すること」と述べており、単なる「無理解な言動」(それはどのようにでも解釈可能です)に対する「必要な措置」さえ取るよう求めています

 それ以外にも、第2項では、地方自治に委ねるべき問題に関して「性自認を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知徹底する」ことを求めていたり、第3項では、この理解増進法案とは直接関係のない性同一性障害特例法に関する「見直し」を求めています。第4項では予算措置を求め、第9項では、「各学校によるそれぞれの創意工夫を生かした授業の実施を妨げるものではないことについての周知徹底」を求め、何らかの「はどめ規定」を設けないとしています。一部の学校現場ではすでに、科学的根拠のない「性自認」や「心の性」が教えられ、発達途上の子供たちに不正確で混乱した教育がなされていますが、それについて放置せよということです。さらに第10項では、理解増進連絡会議に第三者の参加を求めています。いずれも理解増進法案の基本理念に反するものです。

 その他、この附帯決議案にはまだいくつも問題が見られます。理解増進法案の基本理念と立法趣旨に根本的に反するこのような附帯決議案をただの一つも受け入れるべきではありません。自民党の国会議員のみなさん、どうかこの附帯決議案をきっぱり退けてください。

 また、今回の立憲民主党の附帯決議案は、具体的な定義や内容があいまいなまま「性同一性」や「不当な差別があってはならない」という文言が本文にあることで、いかにそれを手掛かりにして事実上の差別禁止法へと変質させることが可能であるかを示しました。

 私たちは改めて、3つの理解増進法案の文言及び構成について徹底的に見直し、十分な国会審議と国民的議論を行なうことが必要であると確信します。しかし、そのための時間がもはや今国会の会期中には残されていない以上、3つの理解増進法案はすべていったん廃案にして、仕切り直しをするべきです。

2023年6月9日

 No!セルフID 女性の人権と安全を求める会

 代表 石上卯乃、桜田悠希


国会議員のみなさま、メディアのみなさまへ、FAX送付いたしました。

最新情報をチェックしよう!
>No ! self-ID For Women's Rights and Women's Safety

No ! self-ID For Women's Rights and Women's Safety