AV出演被害防止・救済法案の拙速な成立に反対します

 法律上の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで今まで未成年者であった18歳、19歳に認められていた保護者による無条件取消権がなくなってしまいました。そこで、新たな被害者救済法(以下、AV新法と略記)を成立させようと、多くの議員、当事者および支援団体のみなさまが、日夜、大変な奮闘をされています。私たちはまずもって、このことに心からの敬意を表し、感謝を申し上げます。しかし、AV出演被害者の救済のためには、当面する問題だけに捉われるのではなく、真の救済法案となるべく時間をかけて議論を深めることが必要であると私たちは考えます。被害当事者や支援者のみなさまの納得の得られない拙速な法案の成立は避けられますよう切にお願いいたします。

 私たち、「No!セルフID 女性の人権と安全を求める会」は、すべての女性の人権と安全を守るためには、アダルトビデオの実態を踏まえたAV新法の見直しが必要だと考えています。日本国憲法の第25条は「①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。これまで、AVに出演した多くの女性たちは生きていくために、実際の性交をさせられたり性的姿態をビデオに撮られて、世間に流布されるという「仕事」をさせられてきました。これ自体が女性の尊厳を傷つけるものであるだけでなく、その後の生活に大変な困難を強い、広く女性の人権と安全を深刻に脅かすものであって、健康で文化的な生活を営む権利を侵害するものであると私たちは考えます。したがって、実際の性交や異物の挿入などを伴う撮影の禁止を法案に明記することが必要不可欠です。

 アダルトビデオが今まで放置されてきたことで、さまざまな問題が山積みになっていますが、ひとつひとつ、力を合わせて取り組んでいけば、必ず解決への道は開けます。今回のAV新法は、18、19歳の人権を守るだけではなく、すべての年齢の女性の尊厳と人権を守るためのものであると言われています。私たちは、同法案が本当にそのようなものになることを心から願い、そのために日夜奮闘しておられる当事者、支援者、議員のみなさまに心からの敬意を表します。このAV新法が性交契約の合法化に踏み出した法案だったと言われないためにも、議論に時間をかけ、実際の性交や異物の挿入などを伴う撮影の禁止を法案に明記されますよう、重ねてお願い申し上げます。以上をもって、私たちのささやかな声明とさせていただきます。

2022年5月22日

No! セルフID 女性の人権と安全を求める会

代表 石上卯乃、桜田悠希

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