セルフIDとは

「セルフID」とは、自己申告で社会的・法的な性別を決められること

セルフIDとは、セルフ・アイデンティフィケーションの略語です。基本的に自認ないし自己申告による性別を社会において事実として通用させることを指します。

医学的な診断や処置 、もしくは裁判所の認定などを必要とせずに法的・社会的な性別変更を可能にする制度のことを、セルフID制と呼びます。セルフIDだけによる性別変更が可能になった社会では、多くの混乱が起こっています。

「セルフID」と「性自認」は違います。

性自認とは、自分の性別についての認識のことを指します。自分の生物学的な性別(sex)と、自分が認識する性別や自分がそうありたいと望む性別が異なっていることもあります。
トランスジェンダーの方たちは多様で幅広い層の人々です。性同一性障害(GID)当事者も含まれますが、GIDの診断を受けていない人も、性別適合手術を受けていない人も、この手術を受ける予定ではない人も含まれます。 トランスジェンダーとは、そのような人々を示す包括的な用語です。

セルフIDとは、基本的に自認ないし自己申告による性別を社会的に通用させることであり、それに基づいて法律や制度の運用が変更されれば、さまざまな問題が起きます。当会では、性自認というもの自体を取り上げて論じることはいたしませんが、セルフID制、つまり、性自認のみを理由に法や社会の制度が変えられることには強く反対しています。

日本は今セルフID制なのか?

いいえ。日本では今はセルフID制ではありません。
戸籍上の性別を変更するには、「性同一性障害者の性別の取扱の特例に関する法律(通称GID特例法)」により、 「性別適合手術を受けていること」「未成年の子どもがいないこと」などの要件を満たしていることが必要です※。それらを満たしている場合、裁判所へ申し立てることが出来ます。 2020年までにそうして戸籍変更をした人は10301人です※※。

※ 裁判所「性別の取り扱い変更」(外部リンク)
※※ 「gid.jp」または「日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会」(外部リンク) 

しかし、一部の企業等の内部においては、基本的に自認ないし自己申告した性別にもとづいて、更衣室やトイレの使用を認めている場合もあります。

特例法の手術要件等がなくなった場合、実質セルフID制になってしまう

上記の通り、現在はGID特例法により、戸籍上の性別を変更するには、要件(手術要件など)を満たしていることが必要です。

しかしこれを不当であると訴えている人たちもいます。「人は自分の望む性別に変更すれば、より自由に生きることができる。だから性別の変更は法的にも容易であればあるほど良く、 手術で身体に変更を加えなくても望む性別で法的にも生きられる社会がいい」という考え方によるものです。

けれども、ある個人が女性であるか男性であるのかを、身体の状態 (性器が男女どちらのものであるのか)に関わらず選択して決めるのであれば、身体的な性の違いにもとづいて定められている社会の領域 (トイレや風呂やシェルターなど)や諸権利についてのルールが意味をなさなくなり、それらによって保護されるべきだった人たちが、適切に保護されなくなります。

そのため私たちは、性別のセルフID制に反対しています。「性同一性障害特例法」は現在のまま遵守するのが一番良いと考えます。


   

その他、問題の基本として詳しくはこちらをご覧ください。

>No ! self-ID For Women's Rights and Women's Safety

No ! self-ID For Women's Rights and Women's Safety